ラストダンスは私に

母の介護日記です

夕焼け小焼けで日が暮れて

6月17日月曜日、母は天国へと旅立ちました。 前回ブログを更新した土曜日と同じく、日曜日も母は一日中眠り続けていた。 土曜日は自分で目を覚まして「水が飲みたい」意思表示をしたのだけど、日曜日はもう本当に目を覚まさなかった。心配した私が声をかけて…

なだらかな曲線

雨降りの土曜日。 母は眠っている時間が圧倒的に増えてきた。少し前までは、何時間かおきに目を覚まして水分をとっていたんだけど。何日か前から、ほんとうに目を覚ます回数が減ってしまった。 今朝は8;40に看護師さんが来て、ていねいに痰を吸引してくれた…

痰の吸引

誤嚥騒動をきっかけに、我が家に新たにやってきたもの2つ。酸素吸入器と、痰の吸引器。痰の吸引は家族がしてよいそうで、看護師さんが吸引器の使い方を教えてくれた。ただ、看護師さんは管を鼻の穴から挿入するけど、さすがにそれは怖いので、私は口から挿入…

誤嚥騒動

おいしそうに黒蜜きなこプリンを食べた翌日の金曜日。母の様子を見ると、苦しそうにして眉間にしわをよせていた。ドクターに電話をして、痛み止めの錠剤を飲ませた。薬が効いたようで、苦しそうな様子はなくなった。そして、その日はそのままずっと眠り続け…

梅雨入り

昨日は親戚が一家四人でお見舞いに来てくれた。1ヶ月前にも来てくれた、母と一番親しい親戚だ。声をかけると、うっすらと開いた目で、誰が来たかを理解したようだった。 せっかく遠くから来てくれたのだからと思って、私は「お母さん、何か話せる?」と発言…

介護離職

介護をきっかけに会社をやめた。連休前を最終出勤日にして有給を消化し、5月末に正式に退職した。 母の末期癌がわかった4月上旬、会社にはすぐに退職の意思を伝えて、引き継ぎのために週に何回か午後から出勤をした。その頃の母はまだ自力でトイレに行くこと…

久しぶりの外出

先日、久し振りに平日の昼間に電車に乗って外出をした。電車は少し混んでいたけど、私は座ることができた。しばらくすると、私の近くに立っていた40〜50代の女の人が、突然床にしゃがみこんだかと思うと、おもむろにメイクを始めた。荷物がパンパンに詰まっ…

点滴のない10日間

点滴をやめてから、約10日。6月を迎えて、母は意外と元気です。 点滴をやめたら、あっという間に脱水で衰弱するというようなことをドクターから言われていたので、相当な覚悟をしていたのだけど。点滴をやめる直前の血液検査の結果では、心臓と腎臓の数値が…

熱中症

この週末、暑かった。5月とは思えない真夏日が続いた。 母の寝ている部屋には冷房がない。午前中はまあまあ涼しいけど、西日があたる部屋なので、午後3時ごろからかなり暑くなる。この数日、窓を開けて風を通したり、扇風機をまわしたり、うちわで扇いであげ…

点滴をやめる

点滴を続けるべきか、やめるべきか。それが問題だ・・・。ハムレットばりのシリアスな顔で悩んでいたけど、母の「あっかんべー」を見て以来、私の中で拮抗していた力が、ふにゃっと抜けてしまった。 翌木曜日。看護師さんがやってきて、前の日に刺したままに…

あっかんべー

介護生活がはじまって、1ヶ月になる。そろそろ私も疲れがたまってきて、今日はちょっと寝坊してしまった。 朝起きたら、今日も息してるかな…と、恐る恐る母の様子を見に行く。それが私の毎朝のルーティーン。今日の母は、朝から元気だった。両目がぱっちり開…

夢の片鱗

先週、14日の火曜日は、横須賀から叔母がお見舞いにやってきた。母の2歳違いの妹だ。80歳を超えた叔母も今、自宅で介護生活をしているので、家を空けることが難しい。大変な状況なのに、とても元気で、日頃話し相手がいないせいか、本当によくしゃべった。そ…

点滴。その後

点滴をどうするか考えてたら、涙と鼻水が止まらなくなってしまった。 だって、できないよ、減らすなんて、そんなこと。 生きてるんだから。 結局、毎日続けてもらうことにした。

点滴

「まだ、点滴、続けるの?」おととい、母がこう聞いた。「だってお母さん、今、水も食事もあんまりとれないでしょう。脱水状態になったら大変だからね、点滴は続けないと」私はこう答えた。母は黙って頷いた。その日の診察が終わった後、ドクターに「母にこ…

訪問看護

わが家に来てもらっている訪問看護ステーションは男性だけの看護師チームだそう。圧倒的に女性の多い看護師業界で、男性だけというのはけっこう珍しいのだという。 母は初対面の若い男性看護師さんに「Kさん」と、下の名前で呼ばれたことがとても嬉しかった…

二重苦

5月10日金曜日、この日もまた元気がない。 トイレに行きたいと言うので体を起こしてあげたが、座っていることができず、必死に体を支えたが、そのまま後ろ向きに倒れてしまった。 この日は座薬を使い始めて3日目。ようやく便意をもよおしたものの出せなくて…

母が泣いた日

調子が良かった日の翌日、どうも前の日の元気がない。 その日は午前中に母の生まれ故郷の群馬の親戚がお見舞いにやって来た。母にとっては一番気心の知れた親戚だ。 母の生まれ故郷はいま、世の中の流れに逆らえず、過疎の村になっている。その親戚も1年前か…

静かな一日

今日の朝ごはんはバナナミルク。バナナと豆乳に、ヨーグルトを少しプラス。 「おいしい」と言って、いつもよりもたくさん食べてくれた。 気に入ったものには、大きな口をあけて待ち受ける。私、子育て中の親鳥になった気分。 ご飯の後、血圧の薬を飲ませて、…

上手にできた

介護生活が始まってまだ3週間足らずだけど、とても長い時間が経ったような気がする。 立ち座りをはじめ、元気であれば何でもない動きの一つひとつが、今とても難しい。 食べて、出す。それが毎日の真剣勝負。 人間という生き物は突き詰めれば「管」なんだな…

しあわせだよ

痛み止めの種類が増えたためか、母は意識がはっきりしないようになってしまった。 話しかけても反応がにぶい。目にいつもの生気がない。 痛みに耐える様子を見ているのもついらいけど、ぼんやりして別人のようになっているのを見るのもつらい。 退院して、う…

令和初日

元号が令和に変わった日。 朝起きて、母に食事を食べさせて、薬を飲ませる。ゴミ出しをしたところで、午前10時。そこへ注文していたポータブルトイレの納入。納品書に「令和元年」と記入する。 ポータブルトイレをベッドサイドに置いて、自分の朝食にしよう…

はじまり

この春、母の介護生活が始まった。 一人暮らしをしていた母が体調不良を訴えて入院したのが3月の終わり。 精密検査の結果、診断は膵臓癌。 すでに末期で、手の施しようがない状態だった。 84歳という高齢のため、積極的な治療はしないことに。 あの頑丈だっ…