ラストダンスは私に

母の介護日記です

点滴

「まだ、点滴、続けるの?」おととい、母がこう聞いた。「だってお母さん、今、水も食事もあんまりとれないでしょう。脱水状態になったら大変だからね、点滴は続けないと」私はこう答えた。母は黙って頷いた。その日の診察が終わった後、ドクターに「母にこんなこと言われて、切なかったです」と話した。

 

今日、診察が終わった後、そのときのやりとりを踏まえて、ドクターから点滴を一日おきにしてはどうかと提案された。今、母にとっては点滴が命綱だから、完全にやめてしまうと、あっという間に終わりを迎えてしまうだろう。でも本人も針を刺されるのを嫌がっている。点滴をしたからと言って、病気から回復するわけでもない。

母にもしものことがあったとき、どうしてほしいか本人から意思を聞いたりしたことはない。兄や弟とは、過度の延命措置はしない方向でいこうと話し合った。私も命が終わるのを自然に見守りたいという意見だ。でも、いざ「点滴を一日おきにしては」と提案されて、すごく動揺した。

母の寝顔を見ながら、点滴が一滴一滴落ちるのを見ていた日、こんな静かな午後が1日でも長く続いてほしいと願った。いつか終わりが来るのがわかっているから。だからもう少しだけ。もう少しだけ、そんな時間を過ごしていたい。

おかしいよね、そんなに仲の良い母娘でもなかったのに。

昨日のブログで、福島の伯母が亡くなった時、点滴でパンパンにむくんだ足を見てかわいそうと思ったと書いた。でも今日、母の点滴を減らすことを提案されて、「そうしてください」とは思えなかった。

頭で考えたことと、実際の感情はまったく別だった。

点滴をどうするかは、検査の結果をみて決めることになった。