上手にできた
介護生活が始まってまだ3週間足らずだけど、とても長い時間が経ったような気がする。
立ち座りをはじめ、元気であれば何でもない動きの一つひとつが、今とても難しい。
食べて、出す。それが毎日の真剣勝負。
人間という生き物は突き詰めれば「管」なんだな〜とつくづく思う。
今日はベッドとポータブルトイレの間の移動がなかなか上手にできた。
距離にすればほんの何十センチ。その短い距離の移動に最初はかなり苦労して、終わるとヘトヘトになっていたけど、今日は少ない努力で動けたし、私もそうできるように上手にサポートできた。
用を足し終わってベッドに戻った母に「だんだん上手になったよね」と声をかけたら、母は一拍遅れてニパっと笑った。先生にほめられた一年生みたいに、目が生き生きと輝いて、本当に嬉しそうだった。
できないことが増えていく中で、上達することがあるのは嬉しいもの。
「お前も大変だね」と母は私をねぎらった。
「大変だけど、面白いよ」と私は答えた。
そう、面白いの、本当に。
母のために自分を犠牲にしたのではないの。
目の前で起きていることと、自分のしている仕事がぴったりと一致しているの。
つまり、やりたいことをやっているの。
だから毎日が濃密で、過ぎた時間を振り返ると長く感じるのかもしれないな。