ラストダンスは私に

母の介護日記です

痰の吸引

誤嚥騒動をきっかけに、我が家に新たにやってきたもの2つ。酸素吸入器と、痰の吸引器。痰の吸引は家族がしてよいそうで、看護師さんが吸引器の使い方を教えてくれた。ただ、看護師さんは管を鼻の穴から挿入するけど、さすがにそれは怖いので、私は口から挿入している。最初はおっかなびっくりだったけど、3日もすると何事も慣れてくるもので、だんだん上手に使えるようになってきた。

母も痰を吸引されることに、だんだん慣れてきた。最初の頃は私が管を入れるとくわえてしまったり、舌で押し返して抵抗したりしていたけど、今朝は喉をひらいて管を通す感覚をつかんだようで、それ以来スムーズに吸引させてくれるようになった。喉に管を入れられるのは一瞬気持ち悪いけど、痰を取ってもらうと楽になるってこと、ちゃんとわかっている。この数日は頷いたり首を振ったりの意思表示もできなくなってきたけど、表現できないだけで、意思や判断力は失っていないのがわかる。

 

膵臓から始まった母の癌は、今いろんなところに転移しているらしい。3月末に20,000くらいだった腫瘍マーカーは、点滴をやめた5月中旬の時点で120,000を記録した(ちなみに基準値は37.0)。これは計測できる最大値なんだという。半身麻痺になってしまった原因も、脳梗塞だけでなく、脳に転移している可能性が高いとのこと。精密検査をしていないから、どちらなのかわからないけど。遠からず、意識が無くなってしまう日が来るだろう。そうなのか。そうなんだ。うん、そうなんだな。

いのちの終わり、という一点だけを見ると、それは悲しい。でも、母の人生全体を含めて、いのちの終わりなのだと思うと、決して悲しいだけではない。

ドクターも看護師さんも、折に触れて、母だけでなく母を介護する私のこともとても気遣ってくれる。私が自分を責めないようにと、考え方や心の持ち方を伝えてくれる。それはとても大切なことだと思う。